#4 さあ、夏休みの宿題だ ① ~目標をたてて取り組もう~

 7月。日差しも強くなってきて、いよいよ夏本番といった感じになってきた。子どもたちは夏休みが近づいてきて、いろいろ遊ぶ予定も立てたりして、うきうきしているだろう。

 さて、今回と次回のテーマは夏休みの宿題。子どもたちのうきうき気分に水を差すようで悪いが、どうせやらなければいけないなら、ちゃんと効果的にやってもらいたいものだ。

 夏休みの宿題にはいろんなものがある。その代表は、夏休み用の問題集(私が小学生のころは「夏休みの友」という名前だった。正直、あまり友にはなりたくなかったけれど)。そのほか、計算ドリルや漢字書き取り、作文、読書感想文、自由研究、工作、絵、プール、観察日記、などなど。

 今回のエッセイでは、「いわゆる勉強」的な宿題に焦点を当てよう。問題集や計算ドリル、漢字書き取りなどだ。子どもたちにとっては、あまりやりたくない、先送りして夏休みの終盤まで残しがちなものだろう。

 実はこれらの宿題をやったからといって、大きな学力向上効果は期待できない。小学生において、宿題と児童の学力との間に大きな相関はないことが指摘されている。・・・なんていうと、え、じゃあ、宿題なんかやらなくてもいいじゃん、という子どもたちの声が聞こえてきそうである。

「いわゆる勉強」的な宿題で鍛えられるのは、学力などではなく、「気質」の方だ。たとえば、主体性、ねばり強さ、やりきる力、自己肯定感など。子どもたちの性格の強みに結びつくものだ。将来的に学力を上げていってほしければ(さらにいえば、よい仕事につき、よい人生を送ってほしければ)、子どものうちからそのベースとなる気質を身につけておく必要がある。だから、子どもたちの気質をどう伸ばすかを考えて、これらの宿題に取り組んだ方がよい。

 では具体的に、夏休みの宿題にどう取り組んだらよいのか。そして、親や大人は何を意識して、子どもたちと接すればよいのだろうか。

 よくいわれることであるが、まずは子どもと一緒に、宿題に取り組むスケジュールをたてることから始めてみよう。夏休みという長い期間だからこそ、無理なく、こつこつとできるスケジュールに。一日一日のノルマを明確に。もちろん宿題をやらない日があってもよい。

 また、日々計算ドリルや漢字の書き取りに取り組むときには、小さな目標も設定しよう。たとえば、計算ドリルだったら、時間を計って、昨日よりも1秒でよいから早くやる。昨日よりも正確にやる。漢字の書き取りだったら、行の最初の一文字は、できるだけきれいに、お手本をよく見て書く。ほんとうに小さなことでよい。

 このようなスケジュールや目標は、なるべく子ども自身に考えさせるようにしよう。ただし、これらはがちがちに守らなければならないものでもない。スケジュールをたてたことに満足し、まったく取り組まない・・・なんていうのはちゃんとたしなめるべきだろうが、子どもが自ら柔軟にうまく調整するなら、それをゆるやかに見守ろう。スケジュールが大きく遅れたりして子どもが助けをもとめてきたら、一緒に見直してあげよう。とにかく子どもが自分自身で考えて、決めたことをやっているという感覚が重要だ。これが子どもの主体性、自律性という気質をはぐくむ。

 できれば、宿題に取り組むリズムも考えるとよい。たとえば、朝起きたら、顔を洗って、歯を磨いて、深呼吸でもして、朝ご飯の前に今日のノルマを仕上げてしまう。朝一番に今日のノルマを達成すれば、自分で決めたやるべきことをちゃんと達成したという自信であふれ、その日は充実した自由な時間を過ごすことができる。

 そして、子どもが「今日の宿題おわったよ!」といってきたら、「よくがんばったね。今日はどんなことをしたの?」と問いかけて、子どもの話をじっくり聞いてあげよう。子どもたちは、自分ががんばったことを親や大人に聞いてもらって、知ってほしい、認めてほしいと思っている。だから、そのがんばりを認め、子どもたちが安心して自分自身を肯定できるように接して、導いてあげることが大切なのだ。

(記:木村 浩)

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